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株式会社イノベーター・ジャパン
〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-42-13TAKIビル表参道3F

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株式会社パーク・コーポレーション
都会には緑がありません。 無機質な空間で過ごす私たちは、都市特...

連携メディア

株式会社イノベーター・ジャパンのオフィスデザイン

「ローマテリアル」でクリエイティブな感性を輝かせるオフィス

 IT・クリエイティブ・マーケティングをイノベーションの3大要素と考え、その各分野のスペシャリストたちが集まり、企業のイノベーション支援や個人のライフスタイルを変えるサービスの企画・開発などを手掛けている『株式会社イノベーター・ジャパン』。革新的なプロジェクトやサービスを日本から世界に発信していくことを目指して2010年7月に発足し、これまでオンラインニュースメディアの立ち上げやデジタルマガジンのサービス化、飲食店の店舗イノベーション、ファイル転送サービスの運営など、ITを駆使した幅広い事業を展開している。今後更なる飛躍を遂げるため、同社は2014年3月に渋谷区神宮前にオフィスを移転。よりクリエイティブな環境の中で、これまでにないサービスや価値の創造に挑戦している。現在のオフィスの特徴などを交えながら、代表取締役社長の渡辺順也氏にオフィスに対するこだわりやその意図について伺った。

<<なぜオフィス環境へ投資したのか>>

 2013年に福岡市にサテライトオフィスを開設し、2014年には本社オフィスの移転を果たしたイノベーター・ジャパン。複数の企業での経験を経て同社を設立した渡辺代表は、「クリエイティブな感性を最大限に発揮するには、従来のオフィス環境とは異なる空間が必要なのでは」と以前から感じていたという。渡辺代表の考える“クリエイティブなオフィス環境”とは。
                                     
渡辺氏:移転を考えた経緯ですが、現実的なところとして事業の拡大に伴い人員が増え、元々のオフィスだとキャパシティー的に収まらなくなっていました。以前は新宿区高田馬場にオフィスを構えていたのですが、そこからどこにオフィスを移そうかと考えた際、ITを使って世界に展開できるようなサービスづくりを目指す当社にとって、やはりクリエイティビティーが刺激されるような場所が重要だと思いました。今の渋谷区神宮前というエリアに決めたのは、世界のブランドや海外からの観光客が多く、この場所なら日本にいながらでも世界と繋がっている感覚が一番感じられると考えたからです。加えてIT系の企業が多く集まる渋谷周辺なら他の企業との交流も図れるのでは、という狙いもありました。
オフィスの中についても色々考えました。一般的にオフィスというと、複数の机を並べて皆がそこで各自の仕事を行う個のスペースを集積させた場所というイメージがあります。そのような場所は事務作業をするためには合っているのかもしれませんが、物事を考える場所としては相応しくないのではと以前から感じていました。オフィスは皆が同じ場所に集まっている場なので、個での活動がメインではなく、ミーティングや議論をメインにすべきだと思っています。新しいオフィスでは、すぐに打ち合わせができるスタンディングのハイテーブルを中心に据えて、その周りに作業スペースを設けました。活発に議論を交わすことが当社にとって最も重要な「仕事」だと考え、そのようなレイアウトにしました。福岡にも当社のサテライトオフィスがあるのですが、Webカメラで常に両オフィスの状況を映し出し、互いの様子を確認できるようにしていまして、会議や打ち合わせの際には映像を通して福岡オフィスの社員も参加することができます。
周りの友人などから、よく「オフィスだと集中できないからカフェで仕事をしている」という話を聞くことがあります。オフィスよりカフェの方が集中できるという話は本末転倒なものですよね。本来オフィスが最も集中できる場所であるべきですので、カフェにいる時のようなリラックスした状態で仕事に取り組める環境づくりについても意識した部分になります。ほかにオフィスに関する考え方として、このオフィスを当社の最大の「メディア」にしたいという想いがありました。メディアというと、通常はホームページやパンフレットなどを使った情報発信が思い浮かびますが、それだけではなく来てくれた方がオフィスを見て当社の考えや哲学を感じ取れるような空間にしたいと考えました。今のオフィスには、当社の情報発信を担うメディアとしての役割も期待しています。

<<オフィス環境変革後の変化や反響>>

 社員がそれぞれ個で働くのではなく、互いに刺激し合い新しいアイデアに繋がる議論ができるようなオフィス環境を目指したという同社。加えて今のオフィスはオープンな環境で、イベントなどを通してより多くの人たちとの交流を生み出す空間にもなっているという。新たなオフィスに集う外部の方々の反響やそこで働く社員の変化とは。

渡辺氏:今のオフィスの特徴として、エントランスから社内全体が見渡せるオープンなつくりになっています。その上で状況に応じて空間を自由に区切れるように可動式の大きな本棚を設置しました。また、会議スペースが他の場所より一段高く作られています。ここは「ステージ」としても使える空間でして、各種イベントに使用しています。初めて来社されたお客様には、強い印象を与えるオフィスになっているようです。採用面接で来ていただき、オフィスを見てさらに気に入ってくれる方もいます。
今のオフィスに来てから、「InnoCafe(イノカフェ)」というイベントを開催するようになりました。毎回ITとは異なるジャンルの専門家を招き、先程のステージを使って観客とトークを交わしながら様々なアイデアを出し合うイベントです。斬新なアイデアが生まれたり、当社に興味を持ってくれる方が増えたり、多くのチャンスに繋げることができればと考えて企画しているのですが、このイベントも今のオフィスがあるから実現できました。当社の「メディア」として、また多くの方々を結び付け新たなアイデアを生み出す源泉として、オフィスが非常に重要な要素になっています。
社内でも社員間のコミュニケーション量が増えましたね。中央のハイテーブルを中心に活発な議論が交わされています。また、フリーアドレス制により各自が好きな場所で仕事に取り組めるので、全体的な生産性が向上し、オフィスの閉塞感によるストレスも軽減できているのではと思います。金曜日の定時を過ぎると、皆でセンターテーブルを囲ってお酒や食事を楽しんでいます。たこ焼きを焼いたり(笑)。それがビジネスでも円滑なコミュニケーションに繋がっています。カフェスペースも社員たちによく利用されていますね。ここでは、水曜日に外国人スタッフによる「English class」を実施しています。新しいオフィスを活用し、このような社員主催のアクティビティーも増えました。カフェに関しては、コーヒーなどの香りによって嗅覚に刺激を与える目的で設置しました。コーヒーをドリップして淹れるという行為自体も、一時的に頭を仕事から切り離し、発想の転換を促すことに繋がります。またコーヒーを1回淹れると大体2~3人分できますよね。それをほかの社員とシェアし合い、そこから生まれる気軽なコミュニケーションもいいなと感じています。

<<「ローマテリアル」を打ち出した空間>>

 新たに誕生した同社のオフィスは機能性、効率性といった価値観とはやや異なるコンセプトで整備された。今回の移転プロジェクトは、「青山フラワーマーケット」や空間デザイン事業「parkERs」を展開する『株式会社パーク・コーポレーション』と共同で進められたという。渡辺代表の描いた構想は、どのように具現化されていったのだろうか。

渡辺氏:新たなオフィスへの移転は、パーク・コーポレーションさんとのコラボレーションによって実現しました。高田馬場にいた当時、レストランのプロデュースに携わったのですが、彼らとはそこの緑化事業を通して交流が始まりました。新しいオフィスの方向性を考えるにあたって、やはり人間も動物なので自然が身近に感じられる環境の方がより柔軟で豊かな発想を生み出せるのでは、という想いがありました。そのため有機的なもの、自然に近いものが多いオフィスにしたいなと。そういった意味では、花や緑を取り入れたデザインが特徴のパーク・コーポレーションさんとは空間に対する考え方が近いように感じ、移転プロジェクトを依頼しました。
新しいオフィスのコンセプトとして、自然に近く素材の質感を大事にしたいという観点から“ローマテリアル”というキーワードを打ち出し、パーク・コーポレーションさんには「オフィス家具はできるだけ使わないでほしい」とお伝えしました。カフェスペースの背後には、「フレキシブルボード」という本来であれば内側に使う壁材をそのまま露出させています。ステージの土台にはフォークリフトのパレットを再利用していますし、可動式の本棚やセンターテーブルも廃材などを利用して製作していただきました。これらは他にはないオリジナルのインテリアです。また、天井や壁の一部は社員が自分たちで塗装しました。こういった体験は普段できないのでワクワクしますし、自分の手で作業することでオフィスに愛着が感じられるようにもなります。このアイデアもパーク・コーポレーションさんからご提案いただきました。
世の中には、様々なジャンルでデザイナーと呼ばれる方々がいると思いますが、デザインの話をするとビジュアル面ばかりがクローズアップされることがあります。パーク・コーポレーションさんは、コンセプトや大まかな機能面の要望をベースに、こちらの意図をしっかりと反映させた見せ方や実装を提案してくれました。その提案も自分たちが期待していたレベルより上のものを提示していただき、毎回驚きや新鮮さがありました。彼らの強みは店舗のデザインも手掛けているので、市販のものや部材にとらわれず、必要であればインテリアや内装をゼロから製作する柔軟な考え方を持っていることです。こちらの要望を汲んでオリジナルの製品を作ってくれることも彼らならではのサービスで、一緒にプロジェクトを進めることができて良かったと思っています。

<<今後取り組みたいオフィス環境づくり>>

 「ローマテリアル」というコンセプトのもと、渡辺代表がこれまで抱いていたオフィスに対する独自の考えも取り入れ、クリエイティビティーを刺激するオフィス環境を手に入れたイノベーター・ジャパン。今後も施設環境の向上に向け、様々な試みを検討しているという。同社が見据えるこれからのオフィスの方向性とは。

渡辺氏:オフィスは完成した当初がベストな状態で、そこから時間が経つにつれ次第に劣化していくというのが一般的なオフィスに言えることですが、当社では最初の状態からどんどん進化していくオフィスを目指したいと考えています。今のオフィスが完成形とは思っていません。今後も社員のアイデアや新たな機能を反映させ、実験的な試みにも挑戦しながら、オフィスの価値を総合的にグレードアップしていきたいです。私は革製品が好きなのですが、このオフィスも革製品と同じく使い込むほどに魅力が増していくものになってくれると嬉しいです。
私のイメージとしては、40~50人程度の規模が組織として最大の能力を発揮できると思っていまして、今の段階では100~200人という規模のオフィスは想像していません。理想としては、会社組織として40~50人規模のオフィスを日本だけではなく世界中に置いて、各オフィスのチームワークにより会社全体が動くような組織にしたいと考えています。
最後にこれはまだ企画の段階なんですが、IT業界の人材が少なくなってきている中、かつてIT業界にいてスキルを持った子育て中の女性たちがまた現場で活躍できるような環境があればいいなと。例えばワンフロアがオフィスで、その下のフロアには託児所が併設されているような環境が東京の都心だけではなく、もっと郊外の方に増やすことができればと考えています。都心に出なくても東京と同じように働けて、更に子供の近くにいられるという空間が実現できたら、私たちIT業界の関係者にとっても、子育てから職場復帰を目指す女性の方々にとっても、win-winなことだと思います。そんな空間づくりを現在構想として持っています。

<<Pick Up>>  “ここが、イノベーター・ジャパンらしさ”

■「InnoCafe(イノカフェ)」の開催
同社のオフィスを会場に、隔月で開催されているイベント。社外の人も自由に参加することが可能で、「○○×イノベーション」というテーマで毎回様々な専門家をゲストに迎えて実施している。ゲストの方の話を聞くだけでなく、参加者も一緒に考えながらテーマに沿った意見やアイデアを話し合う。これまで「Coffee×Innovation」「Interior Design×Innovation」などのテーマで熱い議論を交わしてきた。今後は福岡オフィスでも独自に企画を打ち出し、東京と交互に開催することも検討しているという。

■プレゼンテーション能力を鍛える「ステージ」
各種イベントの際に、会場を演出するアイテムとして重宝されている「ステージ」だが、普段の業務の中でも社員のプレゼンテーションの場として活用されている。毎週金曜日の夕方には社員が週当番で、自身が今興味を持っているサービスやコンテンツについて調べ上げ、全員の前でその内容を発表する制度があるという。日本はモノづくりなどの面で優れた技術を持っているものの、欧米と比べてそれをしっかりと表現し伝える能力に欠けていると考える渡辺代表の方針で実施されているもので、同社の社員は日頃からこの「ステージ」の上に立ってプレゼンテーション能力を鍛えている。

<<Creator’s Eye>>株式会社パーク・コーポレーション / parkERs チーフデザイナー・ブランドクリエイター 城本栄治氏

イノベータ―・ジャパン様のCIで表現しているのは、常に人が集まってミーティングしたり個人で集中したり、リラックスしたり、談笑したりと言うシーンがいろいろな場所で発生し、クリエイティブなアイデアが生まれるきっかけになる様なオフィス。それを作りたいと始めにご要望がありました。その後、弊社のオフィスをご覧になられて『law material』や『ボリュームと機能の変化』というキーワードが生まれました。『law material』については自然素材や下地素材を『仕上がっていない生の素材』と捉えて、生の素材感を感じられることで表現しました。また、『ボリュームと機能の変化』に関しては、可動パーテーションによる『ボリュームと同時に使い方も変化する空間』で表現しました。
これらのご要望に対して、我々は様々な下地材や自然素材を集めながらアイデアを考えていきました。良い意味でのラフ感を『law material』として定義しました。それにより、未完成の空間で、ある意味不便さを感じる事が感覚を刺激し、クリエイティブな発想に繋がるというオフィスを提案致しました。
作業プロセスの中で最も難しかったのは、費用感とイメージの擦り合わせという点でした。天井を落としてスケルトン状態にしたいなどの希望があったのですが、それらをどのようにして叶えるか。また、その中でグリーンに対してどう付加価値を与えるかという点では悩みました。最終的には、スタッフの皆さんによる壁面及び天井のムラ塗装というイベントや、既存の天井内部の照明用ボックスやダウンタイトをうまく“演出”として見せていく事などにより、予想以上に良い雰囲気が生まれ、施主様の歓びの声に繋がりました。
家具類については、トータルイメージが見えて来た時点でお客様といろいろなメーカーを検討しました。しかし、費用面等も検討した上で、今回はいくつかの家具を『law material』によって制作しました。垂木や合板を使ってデザインしたビッグテーブル、運搬用のパレットを積み重ねて脚部に置き換えたカウンター、ベニヤにシートを貼っただけのホワイトボード等、制作することで結果として新しい価値観に繋がったと思います。
竣工後、施主様からは「水音とグリーンの作り出す環境がクリエイティブな発想を生み出すきっかけになり、費用対効果の高さを感じる。」とよく言っていただいています。機能的なところで言うと、床に段差を付けた事で生まれた場所が、パーティションで閉じれば会議室になり、開けばセミナー用のステージになる点だそうです。まさに『ボリュームと機能の変化』ですね。デザイン的には物の場所が変化し続けるので、いつも新鮮な気持ちで仕事ができると言われます。