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株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
〒106-0047 東京都港区南麻布3-20-1麻布グリーンテラス1階

連携メディア

株式会社ポリゴン・ピクチュアズのオフィスデザイン

垣根も国境もないオープンなオフィス

 『トランスフォーマー プライム』(デイタイム・エミー賞受賞作品)をはじめとする長編フルCG・TVシリーズや、映画、ゲーム、展示会、WEB・スマートデバイスなど、様々なメディアに対応するデジタルアニメーションを制作している 『株式会社ポリゴン・ピクチュアズ』。1983年に創立し、昨年2013年に創立30周年を迎えた。国内外問わず屈指のクリエイターが300名以上結集し、これまでに築き上げた企画制作ノウハウを活かして現在は日本のみならず世界を土壌にその活動域を広げている。2013年にはマレーシアに合弁会社「Silver Ant PPI Sdn. Bhd.」を設立し、さらなる制作力の向上を図りつつ、「誰もやっていないことを 圧倒的なクオリティで 世界に向けて発信する」という創業理念を守り続ける同社。アイデアが生まれる環境作りに込められた思いを、代表の塩田周三氏に伺った。

<<なぜオフィス環境に投資したのか>>

 いざオフィス環境を作ろうとした時、強力な繋がりがあることは非常に恵まれた状況だと言えるのではないか。2010年11月に現在の麻布グリーンテラスへ移転。最初のオフィスからご縁があるというデザイナーとの強力な再タッグが、今回もクリエイターへクリエイティブな環境を提供している。“オフィス”というよりもどちらかといえば“スタジオ”という言葉が相応しいポリゴン・ピクチュアズ社内。もちろん対外的な企業イメージとしての意図もあるが、ここは社内のクリエイターのための空間に仕立て上げられた印象が強い。このような環境を作り出すにあたっての経緯を伺った。

塩田CEO:事業が拡大して、以前のスペースでは足りなくなったんです。この前はつい近所のビルにいたのですが、追加フロアを借り増しするにしても我々の仕事は凄く電力を使うので、ビル自体の電力キャパが一杯一杯になってしまうんです。そこで増床したとしても結局電力キャパを増やそうとすると、それだけで何千万もかかってしまいます。そんな時にたまたまこのビルが建ったばかりで、直後にリーマンショックで入居者が不足したので、大きなワンフロアを丸々借りられますがいかがですか、とオファーを頂いて。効率的な制作をするためには、スペースが複数階に分かれているよりかはワンフロアの方がいいと思っていたので、そういった意味でも魅力的なオファーでした。デジタルアニメ―ション制作の会社ってネット越しやクラウドで仕事ができるんじゃないかと言われることが多いのですが、実は意外に人と人とのコミュニケーションがめちゃめちゃ大切なんです。
また、今回の移転におけるデザイナーも縁がある方でして、1987年に作ったオフィスの設計を担当して下さったのが近藤康夫さんだったんです。近藤さんとうちのファウンダーの河原が友人同士だったということもあり、できるだけお金をかけずにものすごくおもしろいオフィスを作って下さって。当時あのオフィスは面白い、と噂が広がって夜な夜な人が集まるようになり、そのオフィスがきっかけで様々な面白い試みが生まれたんですよ。二代目オフィスと関連会社も近藤さんが設計されたのですが、その時弟子としていらしたのが、今回の移転デザインを担当してくださったデザインユニット「MITIITO」の酒匂克之さんでした。以前事業拡大した際のオフィスデザインも酒匂克之さんにお願いしていたので、じゃあ今回も是非お願いしよう、ということになりました。

<<オフィス環境変革後の社内外の変化や反響>>

 スタッフの声も取り入れながら以前のオフィスの改善点を活かし、大きな変化を遂げた現在のオフィス。その背景に巡らされた物語とは。

塩田CEO:今のオフィスは壁が一切ないので、壮観な景色になって、制作面で話しがしやすくなったということですね。以前は3フロアに分かれていたものが今回ワンフロアに集約されたので、移転当時はスタッフにかなりインパクトがあったのではないかと思います。多種多様な人たちがいるなぁという様子も分かるし、会社として大きく成長した時期だったので、その成長が目に見える形で感じられることも良かったのかなと。「IKOI(憩い)」という休憩スペースも前のオフィスからありましたが、今回はオフィスの中央に設置したのでよりコミュニケーションがとりやすくなったのではないかと思います。コミュニケーション面で場所の影響は大きかったかもしれませんね。
あとは以前のオフィスから比べてかなり明るくなりましたね。実は前のオフィスは消しゴムを落としたら見つからないくらい真っ黒だったんです(笑)。その5年間は最も「黒い時代」でした。モニターの発色に対してシビアなため、室内は暗い方がいいというCG映像業界の共通認識だと思っていましたが、海外から来た同業のスタッフにもちょっと暗すぎるのでは?と指摘されるほどで、やりすぎたな…という反省がありました。環境もスタッフも明るくなって良かったと思っています(笑)。

<<「黒い時代」から「白い時代」への転身>>

 「黒い時代」から「白い時代」へと転身を遂げたポリゴン・ピクチュアズ。これまでも移転に関してはスケジュール的に急なことが多く、今回も設計段階から完成まで半年弱という短さだったという。同社と付き合いの深いデザイナーがその短期間に生み出したアイデアの形とは。

塩田CEO:今回のオフィスではワンフロアであることを最大限に生かして、区切りなく大きなスペースを取りたかったことと、真ん中にみんなが集まるスペースが欲しいよね、と話していました。そのスペースも壁で見えなくするのではなくて、中にいる様子が分かるようにしたいという希望がありました。
社内で使われているカラフルなパーティションは前のオフィスから持ってきたもので、元々ポリゴンはRGB(Red, Green, Blue)を基調としたデザインと色使いが初代の創業者から変わらずに引き継がれていたんです。ただ、背景が黒かった。創業者が80年代にグラフィックデザイナーからスタートしたこともあり、どちらかというとコーポレートカラーをクールな印象で設けていたんです。モニターの発色を考えると暗い方が環境としては良いという理由もあったのですが、現在は“エンターテインメントカンパニー”にシフトしてきているので、よりアニメーション、エンターテインメントを表現する色合いの方が良いだろうと。前のオフィスもそれはそれでかっこよかったんですけど、アニメーションカンパニーではないよね、と。ならば今回は明るいポリゴンになろうと、白を基調にその中に明るい色を取り入れようという話になりました。 
エントランスのデザインも山田尚弘さん・酒匂克之さん両氏のデザインユニット「 MITIITO 」が担当して下さり、JCDデザインアワード金賞を受賞した作品なのですが、見事にお金をかけずに知恵のみでインパクトを作って下さりました。前回作って頂いた時はエントランスにたくさん作り物を仕掛けたんです。とても格好良かったのですが、作り付けが凝りすぎて原状回復にめちゃくちゃお金がかかったんです(笑)。なので、今回はできるだけそういった作り物はやめて下さい、できるだけ作らずに何かをやって下さい、とお願いした結果出来上がったのが、今の壁のアングルとテープのみで装飾するというアイデアだったんです。これは僕がこだわったのではなく、必然からのオーダーにデザイナーが応えて下さったんです。カーペットも最初の提案はもう少しピクセルっぽかったのですが、僕らポリゴンだし視覚効果をここにも入れたいなと思っていたら、このようなまさにポリゴンのデザインを提案して下さいました。ちょっと変わった窓の形や棚の形、家具も全て彼のチョイスです。見た時は天才!と非常に感動しました。

<<今後取り組みたいオフィス環境づくり>>

 2010年11月に移転して約4年。創立30周年を迎えた2013年にはマレーシアに合弁会社を設立するなど、世界への発信が増々加速するポリゴン・ピクチュアズ。コンピュータ・グラフィックスアニメーションの世界に於いて常に最先端を行くクリエイティブ集団である彼らのオフィス、その展望とは。

塩田CEO:できることならもう引っ越したくないです(笑)。我々の業態はマシーンルーム一つ作るのに億単位ですから、お金がかかってしょうがないんですよ。また、先程行われた社内ミーティングでは、プロジェクトが多角的に広がって増えることで機能も付加されてくるので、会議室を用途変換して設備に充てた方がいい、という意見もありました。でも、そうすると会議する場所がない!と…ならば会議の形態を変えることはできないか、といった議論が挙がっているところです。
我々の成長の中で、人様の映像を受注して作ることがこれまで主だったことに加えて、だんだんプロデュースする業態に変わってきているので、今までは「与えられた設計図に対していかに自分たちの付加価値を加えるか」ということと、「良いものを適正なコストで作ること」が売りだったことに対して、今後は「ゼロから考案すること」が増えていきます。そうした時に、クリエイターマインドを持つスタッフが集う新たな環境が必要になってくるのではないかと思っています。
また、現在オフィスが東京とマレーシアにあって、複数拠点で作業も人種も異なる人達があたかも同じ空間で一緒に仕事をしているような現象が生じてくるので、それに対応できるシステム構築といったところが課題になるかと思います。個人的には日本のどこか別の場所にも拠点を作れたら面白いのではないかと思っています。最近徳島に行きたいというスタッフがおりまして。徳島はこの業界でも光ファイバーの特設を大胆にやっていたりして頑張ってるんですよ。弊社メンバーも結婚し始めて子供も何人もいるという状況下で、自分の仕事もしたいけれど、自分たちの子供をどういう環境で育てていくかということも考え始めてるんじゃないかと思います。時々社員とはそういった話もしています。もしかしたら、今後徳島に新たな拠点ができるかもしれませんね。

<<Pick Up>> “ここが、ポリゴン・ピクチュアズらしさ“

■ビア・オクロック
『ビア・オクロック』とは、お酒を飲みつつ楽しく話そう!という、いわゆる飲み会。スタッフのカンパにより、金曜の夜(不定期)スタジオ内で行われるところが特徴。ポリゴン・ピクチュアズにはアジア・豪州・東欧・中東…、世界17ヶ国、約40名の外国人スタッフが在籍しているそうで、異文化交流の場としても魅力的な集いとなっている。

■社内研修
ファシリテーション研修、ロジカルシンキング研修、コミュニケーション研修、英会話クラス、などクリエイティビティや生産性の向上をめざし当社オリジナルで作成している研修プランがある。社員は日々積極的に自己研鑽に努めているようだ。

<<Creator’s Eye>> デザイナー  MITIITO/ ミチイト

酒匂克之氏:クライアント様から最初にあった最も強い希望は、オフィスの顔であるエントランスを自由にデザインしてほしい、という点でした。他には、ごく一般的な会議室が必要だとかそういった条件でした。前回とは異なり、今回はエントランスの造作はできるだけナシということで、検討しました。ポリゴン・ピクチュアズはクリエイティブな会社ですから、見かけだけの高級感や格好良さではなく、知的な仕掛けが必要だと考えました。そこで、3DCGを制作されているゆえ、視覚を対象にした空間の表現方法を探って行くことにしたんです。ここの場合、ただ単に空間の雰囲気を造っているというわけではないので、全方位的にある別の空間に入り込んだ感覚を人に与えなくてはならないと考えました。そのため、人がこの空間に入った時どう見えてどう変わっていくのか、というスタディを多く重ねました。家具は基本的に前オフィスからそのまま流用していましたので、新たな選定は今回はほとんどありませんでした。
竣工してから、来社された外部のお客様からエントランスのデザインを褒めていただいているとお聞きしました。おそらく、この会社のクリエイティビティを少しは体現できたのではないかと思います。