ディップCTO豊濱吉庸さんに、ディップのエンジニアがどういった組織になっており、働き方や仕事環境、一緒に仕事をしたいエンジニアについてインタビュー
「開店準備をしているお店のオープニングスタッフ募集に近いイメージ。エンジニア組織を数十人から200人にして、これから組織ができあがっていくというフェーズで、一緒に組織を作っていけるのはディップでエンジニアとして仕事をする一つの魅力」とディップのエンジニア組織について語る。
また、「エンジニアの実力や成果は、時間単位では測れないため、どこで仕事をしてもいいし、1日30分で成果が出るならそれでもいいと僕は考えている。そこをどう評価して、制度を作っていくのかが僕のミッション。」とエンジニアの働き方や評価についても語ってもらった。
エンジニア組織は“オープニングスタップ” 2025年には200人規模へ
――ディップのエンジニアチームについて教えて下さい。
ディップのエンジニアは、社員と業務委託(以下、パートナー)の方が1:4ぐらいの比率で開発をしています。
社員は現在数十名という規模で、フロントエンド、UX、プロジェクトマネジャー、グロースエンジニアリングなど、役割に応じた組織となっています。
――大半がパートナーのエンジニアですね。
ディップはもともと、パートナーさんにほとんどの開発を委託していました。
ですが、社員でしっかりとエンジニアを抱えて、よりプロダクトに貢献できる開発をしようということで、ここ2、3年で社員エンジニアを数十名まで拡張してきました。
――今後、エンジニアの社員とパートナーの比率はどのように。
ディップの中期経営計画で「ガンガン作れる200人体制」というものを打ち出しています。
これまでは、アイデアや設計が社内にあっても、実際にそれらを開発するフェーズでパートナーさんに開発を委託していました。
しかし、これからは、アイデアや設計から開発までを内製化していくことで、アイデアを小さく早くたくさん試していける体制にしていこうというのが「ガンガン作れる200人体制」です。
ですので、4年後の2025年までに社員のエンジニアを200人まで増やします。
――数十人から200人ですか。
開店準備をしているお店の“オープニングスタッフ募集”に近いイメージとよく話をしています。
エンジニア組織を4年後には200人にして、これまでパートナーの方に頼っていたところを社内にもってこようとしています。
なので、エンジニア組織を一緒に作り上げていくという意味で“オープニングスタッフ”のようなイメージを持っています。
――ディップのエンジニア組織は、どういった社風やカルチャーでしょうか。
そうですね、僕はこの会社で6社目ですが、とてもみなさん元気ですね。仲良しという感じがします。
あとは、「ディップで何かしたい」や「自分がやりたいことがディップで実現できる」という思いがある人が多いなと思っています。
生き生きしている感じでしょうか。いい意味でエンジニアらしくないのかもしれませんね。
――具体的なエピソードはありますか。
活発的なという観点では、僕や周囲に要望や意見をどんどん言ってきてくれます。
ディップのエンジニアは、「イベントやりたい」や「他社とミートアップしたい」という相談をけっこう僕に伝えてくれまして、みんなやりたいことをちゃんと言ってくれて、アクティブだなととても感じます。
元気や仲良しという面では、僕自身がメンバーと和気あいあいと遊んだりしてまして、一緒にゲームしたり、オンライン飲み会をやったりもしています(笑)
執行役員やCTOと聞くと距離が遠く感じる方も多いと思いますが、僕の思いとしては、役職関係なく意見の交換ができ、メンバーと同じエンジニアとして近い存在でありたいですね。なので、普段はフランクに遊びつつも、いざというときに相談のハードルを下げてもらえたらいいなという思いもあります。そんな感じでCTOやってます(笑)
“1日30分で成果が出るのであればそれでもいい”人月に変わる指標を作り、エンジニアの働き方を変える
――現在、ディップのエンジニアはどういった働き方をしていますか。
現状エンジニアは、リモートで仕事をしています。出社は多くても週1回くらいです。
――リモートで仕事をしていて課題や問題はありますか。
そうですね、業務自体はリモートでまったく問題ありません。
ただ、心配しているのはマインドやコンディション面ですね。やはりリモートだけでは見えづらいところがたくさんあるじゃないですか。ちょっとした会話や表情から見えるものが画面越しではなかなか分からないんです。
本当は調子が悪いのに無理してリモート会議に出ている人がいたりするのは避けたいなと。
――マインドやコンディション面のケアではどういったことをされていますか。
オンラインにはなりますが、コミュニケーション量を増やしています。
エンジニアは、よく社内のSlackでtimes(分報)チャンネルという、技術的な興味や雑談を呟くチャンネルを作って発信するのですが、そこに僕が乗り込んでいったり、自らもチャンネルを作って雑談などしています。
もしかしたら「このおっさん何なんだ」と思われてるかもしれないですが、まずはコミュニケーション量を増やして、コンディションが悪いときや誰にも言えない悩みを抱えているときに、ちょっとでも気軽に相談してもらえるといいなと思っています。
そういったSlackのチャンネル文化がエンジニア以外にもけっこう浸透し始めていますし、他にはGoogle Meetで誰かが雑談部屋を作って、そこに適当に入って雑談をして、適当に抜けるというのもやったりしています。
――そういったコミュニケーションはどういった人たちで。
エンジニア社員全員といっていいと思います。エンジニア全員が入っているSlackチャンネルでも、活発にコミュニケーションが取られています。この人と喋ったことがないというのがないかもしれませんね。
そういったところを見ていると、ディップのエンジニアは、喋りたいとか発信したいというメンバーが結構多いと感じています。
――これからのエンジニアの働き方はどのようにしていきたいとお考えですか。
僕の考えでは、オフィスに来て、8時間仕事をデスクでやって帰るみたいな働き方ではなくてもいいと思っています。
エンジニアの実力や成果は、時間単位で測れないと思っています。なので、どこで仕事をしてもいいし、1日30分で成果が出るのであればそれでもいいと思っているんですね。残りの時間は研究開発に打ち込んでもらってもいい。僕の考えですが(笑)
逆に言うと、そんなエンジニアに対する評価や制度みたいなところがまだ追いついていないので、そこを考えていくのが僕のミッションだと思っています。
――場所や時間は関係ないんですね。
そうですね、一般的に開発の規模は、「人月」という単位で測ることが多いです。
1人で1ヶ月かかる仕事の量が「1人月」で、10人で3ヶ月かかれば「30人月」みたいな。
正直、この人月という単位は、みんな同じ性能で、同じスキルなら成り立ちますが、そんなことは絶対ないです。そうなると、人月は神話でしかなく、ほとんど意味のない指標だと思っています。
僕は、「人月に変わる指標はなんだろう」と考え、これから作っていくつもりです。制度や評価、指標を作って、エンジニアの働き方を根本的なところから変えていきたいと考えています。
――現在の制度や福利厚生で力をいれているところはありますか。
ディップのエンジニアには「サポ10」という制度があります。
仕事で使うものであれば、年間10万円まで会社が補助する制度です。キーボードやモニタなどの環境整備、勉強会やセミナーの参加などにも活用できます。
面白かったのが、サポ10では技術書の申請がほとんどないことです。もちろん、制度を使って技術書を購入することもできますが、会社の経費なので技術書は会社のものになってしまうんですね。
なので、エンジニアは、技術書は自分のものにしたいんだなという思いが透けて見えました(笑)
エンジニアの採用について
――CTOからみてエンジニアがディップで働く魅力は何だと考えていますか。
先ほどもお話しましたが、ディップのエンジニア組織は、開店準備をしているお店の“オープニングスタッフ募集”のイメージに近いとよくいいます。
エンジニア組織を200人にして、パートナーさんに頼っていたところを社内に持ってこようとしているので、これから組織ができあがっていくというフェーズなんですよね。
なので、このエンジニア組織を一緒に作っていけるのは、一つ魅力だと思います。
一緒に試行錯誤しながら前に進もうと思っているので、そういうところにも興味ある人に来てもらえると嬉しいなと考えています。
あとは、エンジニアが働く環境としては、標準以上のものが現時点で用意できていると思っています。
制度や評価など、整備していく部分はもちろんありますが、Macが選べる、Slackやbox、Zscalerなどが利用できる、サポ10など、大きく制限のかかる環境での開発というわけではないので、ディップという会社を知ってもらえたら普通に他と比較対象となり得るくらいの環境は揃っていると思います。
――どういったエンジニアと一緒に仕事をしたいと考えていますか。
一番エンジニアに向いている人って「めんどくさがりで怠け者」なんですね。
エンジニアは、繰り返しやる作業の自動化や効率化をすることが大事だと思っていて、「毎日同じ作業でも大丈夫です!」というよりも、「これめんどくさいな」「毎日やりたくないな」と思っていることを自動化しようとするマインドを持っている人のほうが向いているかなと思っています。
そういうマインドを持っている人が僕は好きでして、「工夫したところは何ですか?」って聞いた時に、そういうアプローチが出てくるとすごく良いなと思っています。
あと、ディップは組織としてもエンジニアとしてもチャレンジしていかないといけないフェーズなので、チャレンジ精神のマインドがあると嬉しいですね。
――チャレンジですか。
そうですね、やはり「自分がやりたいことがディップで実現できる」という思いを持っている人の方が良いと思っています。そうじゃないと仕事をしていても楽しくないと思います。
それに、自分達で事業をやっている会社のエンジニアだと、そこに貢献することを一番大事にしないといけないです。
たまに、自分が技術的にやりたいことばっかりに目が向いて、事業は関係ないというマインドの方がいますが、そうなると今のディップじゃなくてもいいんじゃないかなと思います。
なので、これからエンジニア組織を一緒に創り上げていくチャレンジ精神があり、ディップでやりたいことを実現するという思いがある方と一緒に仕事をしたいですね。
ディップ株式会社 CTO 豊濱吉庸さん
ディップ株式会社 CTO(最高技術責任者)
2020年11月入社
大手ITサービス企業ではコンテンツの設計・開発、開発リーダー、テクニカルディレクター、CTO-Boardのキャプテンなどを担当
その後は、さまざまな企業にてシステムアーキテクチャを担当。ディップ初のCTOとしてジョイン
(写真:遠藤麻美)