O2Oというキーワードもまだない2005年から、「インターネットマーケティングを通じて豊かな世界を実現する」という理念を掲げてきた株式会社セレス。これまでスマートフォンメディアを中心にさまざまな自社プロダクトを開発し、企業の厳しい生存競争の中を走り続けてきた。
セレスにはCTOという職名はないため、今回は開発組織の執行役員である高崎淳一さんに話を聞いた。
高崎さんは「エンジニアもビジネスサイドと密にコミュニケーションを取り、企画の段階から主体的に関われる」ことが同社で働く大きな魅力だと語る。また、昇給のピッチが比較的速いことも同社の特徴だという。今後、同社にジョインしたいと考える人にとっては、非常にモチベーションの高まる内容だ。
その他、セレスの開発組織について、カルチャーや雰囲気、働き方や制度について詳しく聞いた。
ビジネスサイドとの密なコミュニケーション。他部署エンジニアとの交流も
──セレスの開発組織について教えてください。
エンジニアとデザイナーが所属する部署があり、エンジニアは基本的には、全員この部署に配属されますが、弊社は自社開発のサービスをいくつか運営しているので、各事業部のサービスの専任開発担当として所属することもあります。
そのため、ビジネスサイドの方との距離も近いですし、異なる部署に配属されたエンジニアとも密にコミュニケーションを取ることができます。
組織全体として、“ビジネスサイドから言われたことをただやる”のではなく、エンジニアもプロダクトの企画段階から参加し、意見や提案をしています。そのため、ビジネスそのものにエンジニアが主体的に深く関わっていける環境だと思います。
──現在、エンジニア組織はどのような働き方をされているのでしょうか。
ビジネスサイドの社員と密にコミュニケーションを取って働いているイメージです。また、フレックス制を導入しているので、柔軟な働き方ができるのも特徴です。
運営サービスが自社開発なこともあり残業時間は比較的少なく、プライベートも充実させられるかなと思います。
──福利厚生など社内制度で力を入れていることはありますか。
年2回ある昇給のピッチは、他社と比べるとかなり早いと思います。人によってはかなりの勢いで昇給します。
人気の制度でいうと、最近はコロナの影響で利用頻度は少なくなってしまいましたが、通常時ですと「コミ活」という他部署の従業員と交流を深めてもらうことを目的とした飲み会支援制度はよく利用される制度です。
また、男性エンジニアが育休を取得して復帰した実績はあります。社内の雰囲気としても、育休を取ることに対して非常にウェルカムな環境です。
──エンジニア組織をマネジメントする上で大切にしていることは。
主体性や多様性を重視しているため、個々人がやりたいことのサポートを行うようにしています。また、個人個人に当事者意識や問題意識を持ってもらえるよう自身で解決していく方向付けもアシストしています。
──一社員が高崎さんなど上層部の方とコミュニケーションを取れる機会はありますか。
全然あります。自席は他の社員と同じ島の中にあるので、普段から気軽にコミュニケーションしていますし、私としても話しかけられるのはかなり嬉しく思います。
勉強会や自己学習など、「将来への投資」を奨励する文化
──所属するチームはどのように決められるのでしょうか。
採用の時点でポジションを絞って募集しているので、入り口の段階で決められています。ただ、「他部署事業の方が興味ある」など、選考を進める中で応募者のご希望があれば変更になることもレアケースとしてはあります。
──採用の際にスキルチェックは行われますか。
はい。技術のスキルチェックを行います。
──エンジニア採用で、スキル以外ではどういったところを重視して見ていますか。
中途の方だと「仕事に再現性があるか」を主に見ています。他社で活躍されていて、弊社でも引き続き活躍していただけそうかという点です。
新卒や第二新卒の方は、伸び代があるかどうかを測りたいので、性格的な部分もそうですが、学習意欲や知的好奇心があるかどうかも重視して見ています。
──若手や経験の浅い方へのサポート体制はいかがですか?
勉強会実施を奨励していて、多いときは週に1、2回、平均すると2週間に一回程は社内で勉強会が行われています。
社員の中には、月の初めに「勉強会を月に何回やる」といった目標を立てて、それを評価制度に取り入れている方もいます。そのくらい、会社全体として、勉強や自己学習への取り組みに対してはポジティブだと感じます。
──勉強会ではどのようなことをされるのでしょうか。
私が登壇者として話すときは、技術のことについての勉強会を実施しています。その会の中で、他の社員たちからの意見や、「この部分がわかりづらいから、こうした方が良いのではないか」など、彼らから見た視点を共有してもらうようにしています。
積極性のある人だけではない、“テッキーな人”も活躍できる環境
──いまどういったエンジニアの方がいらっしゃいますか。
新卒の方から40台後半くらいの方と年代的にはかなり幅広く在籍しています。平均年齢は30台中盤くらいです。
雰囲気としては、開発チームごとに色があると感じています。全員でディスカッションを密に重ねることを重視しているチームもあれば、どちらかというと個人プレイヤー寄りのメンバーが多いチームは、多くディスカッションは重ねないのですが、結果として良くまとまっているチームになることもあります。
エンジニアはバックボーンもさまざまで、中には元プロスノーボーダーという肩書きを持つ方もいます(笑)。ただ、やはり他業種でエンジニアをされていた方が多い傾向にはあります。
──セレスで活躍されているエンジニアさんには、どういった特徴がありますか。
仕事に対して主体性や積極性を持っている人は活躍しているし、評価されやすい傾向にあると感じています。
SIerって極論、ビジネスサイドから言われたものをただ作って納品するだけでも、仕事としては成り立ってしまうと思うんです。
ですが弊社では、自社開発したものでお客様の支持や売り上げを獲得していくので、“依頼されたものを依頼された通りつくってお終い”ではありません。企画段階から自分たちでよく考えて最適なものを作らなければならないし、リリース後にも良かったことや改善点を洗い出す時間が必要になります。
そのために、エンジニアもビジネスサイドの考え方や視点を持つことが重要で、さらにその考えを積極的に発信できる人は強いなと思います。
──ビジネスサイドの方も、エンジニアの意見は重視されている?
ビジネスサイドも、エンジニアの意見はしっかり聞いてくれます。これまでエンジニア発信で作られたコンテンツもあるくらいです。
──エンジニアとしてのキャリアアップについてはいかがですか。
新卒で役職者になった人もいますし、中途入社で1年も経たずに役職に就いた人も何人かいます。
年齢などに関わらず、やはり主体性を持って動ける人であれば評価されて昇進していくイメージがあります。
──エンジニアがセレスで働く魅力は。
ビジネスサイドと密にコミュニケーションをとって仕事をするので、プロダクトに深く関わることができます。そのため、エンジニアという職業に起こりがちな「事業やプロダクトへの貢献度やパッションを感じられないまま仕事を進めていく」ことはまずありません。
コンテンツの企画段階から関われるため、主体的にチャレンジしたい人にとっては最適な環境かなと思います。アイデアや企画を自分から発信することを許容する文化があるので、話も聞いてもらえない、といったことはまずありません。
また、勉強会や自己学習など、将来への投資活動に関しても評価対象になるカルチャーがあるので、意欲的な方にとってはやりがいを感じながら仕事をすることができます。
──エンジニア組織の今後の展望や目標は。
現状は、Webアプリケーションに特化したスキルセットとなっているので、エンジニア一人ひとりの市場価値をさらに高めるためにも、より多角的なスキルセットを目指していきたいと思っています。
──高崎さんが今後一緒に働きたいと思う理想のエンジニア像は。
主体性を重視している社風なので、自分の考えややりたいことをきちんと持っている方は弊社にマッチする人材だと思います。私個人としては、テッキーな人、技術的好奇心が強い面白い方と一緒に仕事ができると楽しいかなと思っています。
広告業なので、「人目を引かなければいけない」という根本的な考え方があります。そのため、新しいアイデアや面白い考え方をする人、またそれが好きな人にとっては非常に楽しくやりがいを持って働ける環境です。
ただ、積極性やチャレンジを強要しているわけではありません。どちらかというと職人気質で、精密なものを作り上げていくタイプの人もいます。エンジニアとして自分がどういう立ち位置で働いていきたいのかに関しては、割と自分で調整できる会社でもあると思います。
株式会社セレス 高崎淳一さん
2014年に株式会社セレスに中途入社。
主力事業であるポイントサイト「モッピー」のインフラやバックエンドを担当し、事業の成長に伴う技術的な課題解決に尽力。2019年部長に就任。2021年執行役員に就任し、全事業の技術力向上とエンジニア組織力強化を推進している。
インタビュー・文:koko
写真:Kashinaga