自宅で過ごす時間が長くなった昨今、教養を高めたい、エンジニアとしての知識を深めたい、と考える方は多いのではないでしょうか。
無数の本が存在するなかで、多忙な日々を送るエンジニアたちが真の「良書」に出会うには、最前線で活躍するITエンジニア企業CTOたちのおすすめ本を参考にするのが一番手っ取り早い方法ではないかと思います。
そこで今回は、WALLが掲載する企業のエンジニア組織のトップの方々に、おすすめの一冊を教えてもらいました。
生涯の財産となった一冊とは
これまで様々な書籍に触れ、IT企業の最前線で活躍するエンジニア組織のトップの方々が選ぶ財産となった一冊。
これからエンジニアとしてキャリアを積んでいく中で参考になるのではないでしょうか。
イノベーションへの解
株式会社Showcase Gig 取締役CTO 石亀 憲さんの生涯財産の一冊は、「イノベーションへの解」だそうです。
株式会社Showcase Gig 取締役CTO 石亀 憲
石亀さんは、「イノベーションを起こすための考えと行動が、極めて具体的に論じられている本です」と言います。
株式会社Showcase Gigは、飲食店向けのモバイルオーダープラットフォーム「O:der Platform」の開発・運営をしており、OMO※の領域で新しいことへのチャレンジをしています。
「誰もやったことがないから正解や成功パターンもなく、だからこそそれを作っていくのが仕事の醍醐味」と石亀さん。
まさにイノベーションを起こしている方からのおすすめの一冊です。
(翔泳社刊行、クレイトン・クリステンセン著、マイケル・レイナー著、櫻井祐子翻訳、玉田俊平太監修)
石亀さんに株式会社Showcase Gigの開発組織や大切にしている思想などをお伺いしたインタビューはこちら
→ 株式会社Showcase Gig石亀憲CTOにインタビュー - 成功パターンがないからこそ作っていくのが醍醐味
※OMO・・・「Online Merges with Offline」の略で、オンラインとオフラインに垣根を設けず、融合したひとつのマーケットとして捉えていこうとする考え方のこと。
フェルマーの最終定理
株式会社エウレカ取締役CTO 金子慎太郎さんが財産の一冊として教えてくれたのは、「フェルマーの最終定理」です。
株式会社エウレカ取締役CTO 金子慎太郎
「数学に関する書籍で、長きに渡ってさまざまな数学者が知恵を出し、知識を紡ぎ合わせて証明に至ったまでの過程や、その壮大な歴史や広い領域に関する言及に感銘を受けました。また視野を狭くしているだけでは物事の解決には至らない、ということを思い起こさせてくれる本です」と金子さんは言います。
「エウレカでは“平等”に機会を与えるではなく、“公平”に機会をつくる」と金子さんが語るように、昔ながらの年功序列の考え方ではなく、組織としてさらに伸びていけるようにまさに狭い視野ではなく、広い視野でエンジニア組織をマネジメントされています。
(新潮文庫刊行、サイモン・シン著 、青木薫訳)
金子さんに株式会社エウレカの開発組織や大切にしている思想などをお伺いしたインタビューはこちら
→ エウレカ金子慎太郎CTOにインタビュー - “平等に”ではなく、“公平に”挑戦する機会があるエンジニア組織
3.エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
Retty株式会社 エンジニアリング部門担当執行役員 VPoE 小迫明弘さんが生涯の財産の一冊として教えてくれたのは「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」です。
Retty株式会社 エンジニアリング部門担当執行役員 VPoE 小迫明弘さん
小迫さんは、「エンジニアとして、マネジメントのキャリアを選択する意味や重要性が理解できる本です。キャリアとしてどのような選択肢があるのかを知ることができるので、マネジメントを志向していない人にもぜひ読んでもらいたい一冊です」と教えていただきました。
約40名ほどのエンジニアが在籍しているRetty株式会社のVPoEとして活躍する小迫さんがおすすめしてくれました。
(オライリージャパン刊行、Camille Fournier著、及川卓也/まえがき、その他、武舎広幸 翻訳、武舎るみ 翻訳)
小迫さんにRetty株式会社の開発組織や大切にしている思想などをお伺いしたインタビューはこちら
→ Retty小迫明弘VPoEにインタビュー”働き方もカルチャーも個人戦からチーム戦へ”
エンジニアが読むべき一冊
日本有数な企業のエンジニア組織のトップの方々に、エンジニアが読んだほうがいいおすすめの一冊も教えていただきました。
お墨付きの一冊なので、エンジニアとして、ビジネスマンとして読んでおきたい書籍です。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT
株式会社Showcase Gig 取締役CTO 石亀 憲さんがエンジニアにおすすめする一冊は、「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」です。
株式会社Showcase Gig 取締役CTO 石亀 憲
「チームで成果を出す事について、深く洞察できるようになる本です。良いサービスやプロダクトが作れるかどうかは、チームワークが重要だと考えています。」と石亀さんに教えていただきました。
また、月に2~3冊の書籍を石亀さんは読んでいるようです。
(日経BP刊行、アンドリュー・S・グローブ著、小林薫訳、ベン・ホロウィッツ序文)
暗号解読(上、下)
株式会社エウレカ 取締役CTO 金子慎太郎さんがエンジニアにおすすめする一冊は、「暗号解読」です。
株式会社エウレカ取締役CTO 金子慎太郎
「普段何気なく使用しているインターネットにも、通信は暗号化がなされているものです。歴史を遡れば戦時から、他国への情報漏洩を防ぐため、言語の多様化から情報受け渡しのプロトコルにおける暗号化・復号化などまであります。コンピュータサイエンスの成り立ちや裏側を非常に興味深く理解することができます。」と金子さんに教えていただきました。
また金子さんは、一ヶ月に5〜10冊ほど書籍を読むそうです。
(新潮社刊行、サイモン・シン著 、青木薫訳)
エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
Retty株式会社 エンジニアリング部門担当執行役員 VPoE 小迫明弘さんがエンジニアにおすすめする一冊は、「エンジニアリング組織論への招待」です。
Retty株式会社 エンジニアリング部門担当執行役員 VPoE 小迫明弘さん
「開発における、『なぜこうなってしまうのか?』『どこに原因があるのか?』という課題を俯瞰的に理解できる一冊です。」と小迫さんに教えていただきました。
また小迫さんは一ヶ月に2~3冊ほどの本を読むようです。
(技術評論社刊行、広木大地著)
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多忙な日々を送るCTO、VPoEの方々でも月に数冊は読書をしています。そして、そこから学びをインプットするだけでなく、仕事に生かすアウトプットもできていることがIT業界の最前線を行くCTOたちです。
テクノロジーの時代においても、教養財産である本の存在は偉大です。IT業界最前線を行くCTOたちお墨付きの本であれば、得られるものはきっと大きいのではないでしょうか。
執筆者:
koko
大手経済誌Web編集部門所属。主に政治・経済系記事(著名人取材、ビジネスマインド、国際情勢等)の企画作成からリサーチ、取材、執筆、校正・校閲まで行っております。
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